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「同一労働同一賃金」とは何か?

同一労働同一賃金

「同一労働同一賃金」を一言で批判しようとすると結構難しい。何故かというと、安倍が言いだした「同一労働同一賃金」と歴史的に労働運動の中で使われてきた「同一労働同一賃金」は完全に真逆だからである。

歴史的にはどういう時に使われたのか? 戦後の都の「臨時職員」が正規職へ転換していく闘いは一つの典型的な事例だ。職務の内容、勤務時間など、職場の一般職員とまったく同一で、数年間にわたって雇用されていても「臨時職員」という名の職員は定数外職員だったために、昇給、退職金(年金)の適用なし、年次有給休暇、超過勤務手当などの労働基準法の適用なし、健康保険等共済保険の適用一切なし、という劣悪な労働条件下で勤務してして、その上に雇用調整弁として常に首切りの対象にされていた。

都庁職労働局支部の場合は1951年にこの「臨時職員」を労働局支部組合員(準組合員)に組織して、10年程の闘いを経て正職員になっていく。この時に掲げられた原則が「同一労働同一賃金」である。同じような労働をしているのに「臨時職員」という「身分」のような違いにより賃金をはじめ労働条件が異なるのは不当だとして、正規職への転換の闘いの原則とされた。

現在の「同一労働同一賃金」はこの時の闘いの「逆転」である。

『「同一労働同一賃金」のすべて』(水町勇一郎著 有斐閣 2018年2月25日初版)は今の「同一労働同一賃金」の成立過程について詳細に経緯が示されている。半分は資料集であるが。

一番わかりやすいのが「巻末資料4」の「同一労働同一賃金ガイドライン案」である。これは2016年12月20日に提出されていて、ホームページでも見ることができる。

ここでは基本給や一時金などについて様々な具体例を示して「違いがある場合は」、「違う賃金が支払われる」ことは「不合理な待遇差」ではないというガイドラインを示している。

一番わかりやすい一時金についての例を挙げよう。

無期雇用フルタイム労働者Xは生産効率や品質の目標値に対する責任を負っており、目標が未達の場合は処遇上のペナルティを課せられている。しかし、この「目標値に対する責任を負って」いない無期雇用フルタイム労働者Yや有期雇用労働者ZにはXのような一時金が支払われなくても「不合理な待遇差」ではないという結論になる。

役割等級制度は基本給にもこういう「目標値」を設けて、この目標値を達成できる人は5のランクの賃金。1のランクの人は1のランクの賃金という形で「同一労働同一賃金」は能力主義、評価制度と一体の賃金体系である。5のランクの「目標値」を与えられた労働者が未達の場合はズドンと1に落とされる評価制度が役割等級制度である。賃金が生活給であること、労働力の再生産費であるという賃金の原則が完全に捻じ曲げられているのが「同一労働同一賃金」なのである。「同一労働同一賃金」施行(2020年4月)との闘いはこれからが本番である。

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